無機塗料とは

無機塗料とは、塗料の材料に無機物が含まれている塗料の事です。耐用年数は比較的長く、紫外線が当たっても劣化しづらい性質があります。ただし無機物だけでは塗料としての役割を果たすのは困難なので、実際には有機物も配合されているのです。


無機物なので紫外線で劣化しづらい
無機物とは、主に石に関する物質を指します。具体的にはレンガやガラスや石など、基本的には炭素を含んでいない物質です。その無機物を含んでいる塗料は、無機塗料と呼ばれる訳です。

ところで無機塗料は、しばしば有機塗料と比較されています。両者は、劣化に関する違いがあるのです。
基本的には、有機塗料の方が劣化しやすい傾向があります。有機塗料に紫外線が照射され続けた場合、劣化のスピードも早くなってしまうのです。
しかし無機塗料は、たとえ紫外線が照射されたとしても、劣化スピードが速くなる訳ではありません。無機物には、紫外線で劣化しづらい性質があるからです。 ちなみに有機塗料に採用されている成分は、主に樹脂になります。耐候性はそれほど強くなく、長くても20年程度しか持ちません。たいていの有機塗料は、耐用年数は10数年程度なのです。
それに対して無機塗料の場合は、耐用年数は30年ぐらいなのです。効果が長持ちするのは、無機塗料の大きな特徴の1つです。
カビなどが生えづらい無機塗料とその理由
またカビやコケに関する特徴もあります。無機塗料は、カビなどは発生しづらい性質があるのです。なぜ無機塗料はカビが生じづらいかというと、栄養分が入っていないからです。
有機塗料は、そうではありません。その塗料の施工を行った箇所には、カビが生えてしまうケースは多々あります。
そもそも外壁などに生えるカビにも、栄養分は必要です。栄養分を吸収して、カビやコケは育っているのです。
カビの栄養分は何かというと、有機物なのです。有機塗料に含まれている樹脂も、カビの栄養分になります。
ところが無機塗料の場合は、そもそも有機物がほとんど含まれていません。ですからその塗料は、カビなどは生えづらい性質があります。
不燃性がある無機塗料 それと無機塗料には、火災に関する特徴があります。有機塗料と比べると、やや燃えづらい性質があるのです。耐火性は、比較的優れている塗料という事になります。
有機塗料の場合は、必ずしも耐火性が優れているとは限りません。有機物によっては燃えやすい性質があるので、万が一の火災リスクもあるのです。その点無機塗料の中には、特に燃えづらい成分も含まれていませんから、火の手は上がりづらい性質があります。 親水性があるので汚れが流れる 無機塗料は、親水性にも特徴があります。その特性により、塗料に汚れなどが付きづらい性質があるのです。
例えば無機塗料を塗った壁に対して、雨水が当たったとします。無機塗料が塗られていれば、その雨水はシャワーのような役割を果たすのです。塗料に付いた汚れでも、雨水というシャワーが洗い流してくれるようなイメージになります。
というのも無機塗料には、親水性があるからです。その性質によって、汚れも浮かび上がるような状態になり、自然と流れ落ちてくれるのです。
無機物が含まれる塗料は無機塗料
上述のように様々な特徴がある無機塗料ですが、よく誤解されているのは、その塗料は100%無機物ではありません。多少は有機物は含んでいるのです。
無機物は、硬度に特徴があります。有機物と比べると、やや硬い物質なのです。硬い状態ですと、およそ塗料としての役割を果たせなくなってしまいます。塗る事ができませんから、実際には無機塗料の中にも有機物は入っている訳です。
では無機塗料の中に含まれている有機物の割合は、果たして何%であるかというと、特に明確な基準はありません。やや極端な例ですが、たとえ有機物が95%で無機物が5%という塗料でも、無機塗料であると見なされるのです。
ですから無機塗料とは、「無機物を含んでいる」塗料の事を指します。
なぜ効果は半永久的でないか
ところで上記でも少々触れましたが、無機塗料の耐用年数は100年や200年などではありません。現実には30年など、やや短めな年数になるのです。
なぜ半永久的な効果が無いかというと、それも上述の有機物に原因があります。確かに無機物は、耐用年数は非常に長いです。鉱物ですと、それこそ数百年以上の耐用年数はあります。しかし実際には有機物を含んでいるので、耐用年数も30年ぐらいに限定される訳です。
ややヒビが入りやすい無機塗料
なお無機塗料には、ヒビが入りやすい特徴もあります。有機物と比べると、無機物はやや硬度があります。
誤解されている事も多いですが、硬い塗料は少々ヒビが入りやすい性質があるのです。外壁が割れた時も、無機塗料も一緒に割れてしまうケースがよくあります。
しかし、それも塗料の製品次第です。弾力性が高い無機塗料の場合は、多少の圧力が加わったところで、ヒビが入りづらい傾向があります。